ChatGPTとは?活用のための参考サイトも紹介

新しい人工知能チャットボットChatGPTの話題は世界を席巻しました。ChatGPTは、大量のトレーニングデータを背景にした自然言語処理モデルを利用して自然な文章生成や質問応答などに非常に優れた成果を発揮したことで、「インターネットの登場を超えるインパクト」とも言われるほど、革新的な技術として注目されています。
今回は、ChatGPTの簡単な概要と利用するための参考サイトをご紹介いたします。初心者から開発者までChatGPTに関する学習や活用方法に関する情報をまとめておりますので、ご参考いただければ幸いです。
※本記事は2023年3月現在の情報に基づいています。
1.ChatGPTとは
ChatGPTは、サンフランシスコを拠点とする新興企業OpenAI社によって開発された人工知能チャットボットです。対人のような質疑応答が可能な以外にも、文章の要約や翻訳、プログラムのコーディングなど様々なタスクをこなすことができます。2022年11月に公開以来、人間のような自然な受け答えや幅広い分野に回答できること等が話題となり、利用者が急増、わずか1週間で100万人を超えました。さらにその後2カ月ほどで利用者は1億人を突破しました。
GPTとは「Generative Pre-trained Transformer」の略称で、深層学習モデルであるTransformerを用いた言語モデルです。言語モデルとは、人間の言葉を単語の出現確率でモデル化したものですが、ChatGPT は当時の最新モデルGPT-3.5シリーズをベースにしています。ChatGPTは、膨大な数のパラメーターを持ち、文章の生成と理解、質問応答、文章分類、言語翻訳などを含め、自然言語処理タスクを解決するためにトレーニングされています。
ChatGPTのトレーニング用データは英語が最も多いため、英語の方が得意だとも言われていますが、英語以外にも、日本語や中国語、フランス語、ドイツ語、ロシア語など多くの言語に対応しています。
以下のように、英語と日本語、中国語で、ChatGPTに同じ質問「ChatGPTとは?」を聞いてみました。
<英語>
<日本語>
<中国語>
各言語の答えを見てみると、若干の差異はありますが、それぞれ比較的近い内容で説明してくれました。何よりも、ほぼ正確な文法と自然な表現によって日本語と中国語で説明されて、文章の段落分けもきちんと意識されていることに驚かされます。
回答内容の正確性が低いケースもまだ多く見られますが、筆者には文法の精度は一般に利用されている翻訳ツールを遥かに超えていると感じられました。
現在、ChatGPTは無料サービスとして公開されており、広く利用されながらユーザーのフィードバックに基づいて精度向上のためのトレーニングを継続しています。2023年3月には、言語モデルの新たなバージョン「GPT-4」が利用できる有料版(ChatGPT Plus)もリリースされ、利用料は月額20USドルとなっています。GPT-4は従来のモデルに比べて、論理的思考力や文書作成力が向上し、信頼性が一層高くなったとされています。
便利なChatGPTですが、利用する上では注意も必要です。特に無料で利用できるChatGPT(GPT3.5ベース)が回答する内容については、不確かな情報であったり、情報が古かったりする場合が指摘されています。利用者側で情報の正確性や鮮度については判断する必要があります。
2.ChatGPTをより活用するための参考サイト
プロンプトエンジニアリング関連
ChatGPTに良い指示を出して性能を引き出すには、プロンプトエンジニアリングの考え方が極めて大切です。プロンプトエンジニアリングの考え方を体系的に学習できるサイトには下記などがあります。
「Learn Prompting」:https://learnprompting.org/
「Prompt Engineering Guide(日本語)」:https://www.promptingguide.ai/jp
下記サイトでは何百種類以上のChatGPTへの指令テンプレートやサンプルが用意されています。これらのテンプレートを活用して、ChatGPTとのより高レベルの会話を実現することができます。興味がある方は試してみても良いかもしれません。
「ChatGPT Prompt Examples」:https://platform.openai.com/examples
「ChatGPT Shortcut」:https://www.aishort.top/en/
「awesome-chatgpt-prompts」:https://github.com/f/awesome-chatgpt-prompts
OpenAIの研究開発関連
下記サイトでは、ChatGPT を理解・操作するための豊富な情報とリソースが提供されています。 開発者や研究者、またはChatGPT 利用に興味を持つ一般ユーザーのいずれも有用な情報を見つけることができます。
・OpenAIのリポジトリ:
ChatGPTに関するガイドやチュートリアル、API など、開発者が ChatGPT を効果的に理解し使用するのに役立つ情報を提供しています。
https://github.com/openai
・OpenAI Python ライブラリ:
Pythonで作られたアプリからOpenAI APIへアクセスするためのライブラリを提供しています。
https://github.com/openai/openai-python
・OpenAI の研究論文サイト:
ChatGPT に関連する研究論文を公開しています。ChatGPT に関する基本的な概念やアーキテクチャ、トレーニング、機能など詳細な技術紹介を提供しています。
https://openai.com/research
・OpenAI API の使用例とガイド:
OpenAI API の概要や利用方法を公開しており、また、さまざまなプログラミング言語でのコード例も提供されているため、開発者はプロジェクトで ChatGPT を簡単に実装して試すことができます。
https://platform.openai.com/docs/introduction
・OpenAI 開発者コミュニティ:
人工知能に携わる技術者や研究者、ユーザーが、AIのアプリケーション開発や市場動向など 様々なトピックについて交流するオンライン フォーラムです。参加メンバーは積極的に学習や情報共有、コラボレーションなどを行っています。
https://community.openai.com/
3.まとめ
にわかに世界中で注目を集めるChatGPTは、まだ完全に人間と同じような自然な対話や意図の理解はできませんが、今後も更なる大量の情報を学習し続けることで、精度の向上及びより広範囲での応用が期待されています。一方で、その利用には、セキュリティ、プライバシーや著作権、倫理面、科学や医療などへの応用の可能性と限界など様々な課題も指摘されていることも留意が必要です。
今後の活用や、諸課題への議論や対応を注視しながら、ポジティブな思考で来るべきAI時代におけるAIの利用方法と人間の関わり方について考えていきたいと思います。
参照:
https://openai.com/blog/chatgpt
https://openai.com/product/gpt-4