ブロックチェーンとは?初心者向けの基礎知識解説

昨今、ニュースなどで頻繁に耳にする「ブロックチェーン」。
ビットコインを実現させるために生まれたブロックチェーン、従来の集中管理型のシステムに比べ、改ざんが極めて困難、システムダウンが起きないなどの特徴を持つため、FinTech(フィンテック)以外にも、IoTを含む幅広い分野において応用の可能性を秘めています。
本コラムでは、ブロックチェーンを支える技術などブロックチェーンの基礎知識についてご説明いたします。
1.ブロックチェーンを支える技術
ブロックチェーンとは、大きく分けて以下4つの技術の組み合わせになります。
① 暗号化技術
② コンセンサスアルゴリズム
③ P2P(ピア・トゥ・ピア)
④ DLT(分散台帳技術)
① 暗号化技術
暗号化とは、メールなどのテキストを不規則な文字列に変換することです。この暗号化によって、簡単に第三者がデータを解読できないようにしています。
② コンセンサスアルゴリズム
ブロックチェーンでは、暗号化された1つ1つの取引を特定の固まり(ブロック)にします。その固まりは、時系列につながっていきます。
1つ1つの固まりにする際にこの固まりで良いのかの合意形成を行う作業をコンセンサスアルゴリズムといいます。
③ P2P(ピア・トゥ・ピア)
P2Pとは「Peer-to-Peer」の略称のことで、不特定多数の端末(スマホ、PCなど)がサーバーを介さずに、端末同士で直接つながり、通信、データファイルのやりとりができます。
④ DLT(分散台帳技術)
DLTは、ユーザーやシステムが資産に関する取引を分散化して保存及び記録するためのシステムで、複数に分散して情報を保存していきます。複数に分散されていることで、特定の情報を書き換えても他に分散されて保存されている情報を比較し、改ざんされていることを把握できるようにする仕組みになります。
ブロックチェーンは、上記のような複数の仕組みを組み合わせたアルゴリズムで成り立っています。ブロックチェーンを支えている基本的な技術を理解した上で、ブロックチェーンの仕組みを確認していきましょう。
参考: 坪井大輔『WHY BLOCKCHAIN』(翔泳社、2019年)
2.ブロックチェーンの仕組み
複数の情報が集まったブロックが作成されると、nonceと呼ばれる一度しか使えない32ビットの整数が生成され、nonceは暗号化ハッシュ(nonceに永久的に付加される 256ビットの数値)を生成します。
ハッシュは、ブロックをリンクするチェーンとして機能し、ブロックの内容が変更された場合はハッシュ値も変更され、データの改ざんを検出することが可能になります。
すべてのブロックに独自のnonceとハッシュがあり、チェーン内の以前のブロックのハッシュも参照します。
このような新しいブロックは採掘(第三者による取引の承認および確認作業)によって作成することができます。採掘者(取引の承認および確認作業を行う第三者)は特別なソフトウェアを使用し、適切なnonceとハッシュの組み合わせを発見します。
nonceは32ビットで、ハッシュは256ビットであるため、適切な組み合わせは約 40億通り存在します。
ブロックチェーン内でアクションが発生すると、以下のようなプロセスが自動的に実行されます。
① 記録
以下のような情報をデータブロックとして記録される。
・誰が取引に関与したのか
・取引中に何を行ったのか
・いつ発生したのか
・どこで発生したのか
・発生した理由
② 承認
ブロックチェーンネットワークの参加者による記録の承認が必要になる。
③ リンク
承認が完了すると、アクションがブロックに反映され、暗号化ハッシュが新しいブロックに追加される。
④ 共有
最新のコピーが全参加者に配布される。
チェーン内の以前のブロックに変更を加えるには、変更のあるブロックだけでなく、その後に続くすべてのブロックを再採掘(改めて第三者による取引の承認および確認作業)をする必要があります。
正常に採掘されると、ネットワーク上のすべてのnode(チェーンのコピーを維持し、ネットワークの機能を維持するあらゆる種類の電子デバイス)によって変更が受け入れられます。
すべてのnodeにはブロックチェーン独自のコピーがあり、ネットワーク上では、チェーンが更新、信頼、検証されるために、新しく採掘されたブロックを承認する必要があります。
そのため、履歴(ブロック)の一部を改ざんしようとする時、後続のブロックすべてに影響します。変更したブロックから算出されるハッシュ値が変わり、その後のすべてのブロックのハッシュ値も変更する必要があるので、改ざんが非常に困難になっています。
参照サイト
https://www.smbcnikko.co.jp/terms/japan/ma/J0763.html
https://builtin.com/blockchain
https://aws.amazon.com/what-is/blockchain/
https://dev.classmethod.jp/articles/blockchain-basic/
3.ブロックチェーンの活用
今までビットコイン等の価値記録の取引に使⽤されてきたロックチェーン技術は、その他の分野においても改良と応用の実証実験と取り組みが行われており、多くの領域でイノベーションを起こしています。
しばしば、ブロックチェーンが本当に必要なのかという疑問の声も聞かれますが、確かに既存の技術で十分に対応できる分野もある一方、データの安全性、取引の透明性、情報の信憑性など既存の技術では対応の限界がある域においては、ブロックチェーンによる根本的な改善が期待されています。
また、ブロックチェーンは現在の中央集権型のネットワークとは異なり、分散型、非中央集権型のネットワークになるため、技術の観点に捉われず、自立分散型の思想も社会や組織に浸透し、少しずつ世界を変えていくと思われます。
現在、ブロックチェーンの活用範囲はよく知られる暗号通貨だけでなく、金融、公共事業、医療、流通、不動産など様々なサービス業界や文化、行政分野における用途の検討も始まって、私たちの生活の多くの側面で必要なテクノロジーとして今後も進化していくことは間違いありません。
参照サイト
https://www.forbes.com/advisor/investing/cryptocurrency/what-is-blockchain/
https://www.guru99.com/blockchain-tutorial.html
https://www.businessinsider.com/personal-finance/what-is-blockchain
https://bernardmarr.com/what-is-blockchain/
https://www.meti.go.jp/main/infographic/pdf/block_c.pdf